どうすれば誠実な人に見えるのか? ―胸に手をあてるという動作の意味―
「男性は誠実な方が良い」「女性は誠実でなければいけない」といったように、男女関係だけでなく人間関係においては、しばしば“誠実さ”の重要性が説かれます。
ですが、そもそも誠実さというのはどうやって示せばいいのでしょうか。実は誠実さを示す行動というのは、誠実でない行動を示すのに比べて圧倒的に難しいのです。例えば、嘘を一度つけばその人は「不誠実な人」と評価されますが、約束を一度守ったからといって「誠実な人」とは評価されません。
誠実であることは私たちの社会のルールだからです。そのため、恋愛においては誠実さ以外の要素をアピールする方が効果的な場合もあります。
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ですが、最近の心理学の研究では、誠実さを示すために最も簡単な方法を見つけ出しました。今回はその方法についてご紹介します。
誠実に見えるジェスチャー
ポーランドのParzuchowskiたちの研究によると、胸に手を当てている写真の女性はお腹に手を当てている写真の女性よりも誠実だと評価されることが分かりました。
つまり、胸に手を当てるという動作が私たちの誠実性を増してくれると言えます。
他にも、彼らはより具体的な実験を行っており、胸に手を当てている女性の写真と背中に手を回している女性の写真をそれぞれ見せながら、「私は1度も仕事に遅れたことがない」、「私は誰に対しても優しい」といったような“本当だったら素晴らしいけど嘘っぽい話”を参加者たちに聞かせました。
実験の結果、参加者たちは胸に手を当てながら話している女性の写真を見ると、背中に手を回している女性の写真を見た場合よりも、話の内容に信憑性があると評価したのです。
つまり、胸に手を当てるという動作は、話の信頼性まで高めてくれるのです。
このように胸に手を当てて話すというジェスチャーを今までの会話に少し取り入れてみるだけでも、私たちは誠実な人に見えることが分かっています。
まとめ
「誠実さを示す」というのは、言葉で言うほど簡単なものではありません。私たちが「誠実な行動とは何か?」と問われると急に応えることができないように、誠実な行動というのは曖昧で、人に示すのが難しいものなのです。
ですが、最近の研究成果を見てみると、「ちょっと良い話だけど嘘っぽい」といった内容の話ですら、胸に手を当てるという1つの動作だけで本当っぽく評価してもらえることが分かっています。
ちなみに、上に挙げた実験では、私たちが胸に手を当てながら話すとどうなるかについても検討しており、私たちは胸に手を当てると「嘘をつきにくくなる」ことが分かっています。
「胸に手を当てて話している人は誠実だ」と私たちが無意識のうちに評価してしまうのは、ある意味正しい判断だと言えるのかもしれません。