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愛は結婚に必要か?―日本人は意外とロマンチスト?世界との比較から―

愛と結婚との関係

突然ですが、皆さんは以下のような質問をされたらどう答えるでしょうか?

 

「仮にある異性が、自分が配偶者に望むある一点を覗いた他の全ての質を満たしていたとします。もし自分が彼(彼女)に恋心を抱いていない場合、あなたはその人物と結婚するでしょうか?

 

例えば、相手の異性はお金も持っており、容姿にもすぐれ、性格も優しく、社会的地位も高く、料理も家事炊事も何でもござれという人なのに、自分はその人を恋人として愛せないわけです。

 

そんな素晴らしい人と皆さんは愛が無くても結婚できるでしょうか?

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出典:https://www.flickr.com/photos/millzero/2408535634/

 

男性と女性の違い

興味深いことに、この質問への回答には男性と女性の間で大きな違いがあることが報告されています。

 

1967年に行われた西洋文化圏での研究では、男性は35%しか、愛していなくても結婚するだろうと応えなかったのに対し、女性の場合は、76%もの人が、愛していない相手でも自分から進んで結婚する可能性があると応えたのです。

 

つまり、女性よりも男性の方が結婚に対しては、「愛が必要だ」というロマンチスト的な考え方を持っていることがうかがえます。

 

こうした原因に対して、研究者は「(少なくとも西洋では)女性の地位は自分の夫の地位に依存しており、そのため、女性はリアリストにならねばならず、配偶者の男性の家柄や、地位、収入を考慮しなければならなかったのだ」と考察しています。

 

しかし、最近ではこうした状況も大きく変わってきており、25年後の1991年に行われた調査では、86%のアメリカ人男性と91%のアメリカ人女性が、同じ質問に対して「いいえ」と応え、愛が無ければ結婚しないと応える人が急増しました。

 

つまり、近年では男女を問わず、「結婚には愛が必要である」という価値観が高まってきているようです。

 

ロマンチックな日本人、リアリストなロシア人

さて、こうした研究はアメリカで行われてきた調査であり、他の国のデータを示すものではありません。

 

この調査を行ったアメリカの研究者たちは「アメリカ人はロマンチックな回答をしたけれども、日本人やロシア人はもっと現実的な回答をするだろう」と予測しました。

 

つまり、日本人やロシア人はリアリストだから、愛が無くとも結婚できると応えるだろうと予測したのです。

 

その後同じ調査が日本やロシアでも行われたのですが、調査の結果、研究者の予測に反して、日本人はアメリカ人と同じように、結婚には愛が必要であるというロマンチックな回答をすることが分かりました。

 

どちらの国の学生も、愛していない人物との結婚など考えられないと評価したのです。

 

ちなみに、ロシア人の男性は、他の2か国の男性に比べると、少しだけリアリストな回答をしていました。

 

こうした調査はのちに様々な国で検討され、その結果、経済的に豊かな国では、「結婚には愛が必要だ」と応える傾向があることが分かりました。

 

つまり、日本人も昔のお金が無かった時代に同じ調査を受けていれば、多くの人が「愛がなくとも結婚できる」と回答していたかもしれないのです。

 

日本が物質的に豊かになることで、私たちは恋愛を「贅沢品」ではなく、個人の権利の1つとして捉えられるようになったのかもしれません。

 

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