なぜ振られたパートナーに対して怒りを覚えながら、好意を抱くのか
恋愛に失恋はつきもの
多くの恋愛経験において、ほぼ避けられない出来事の1つに「失恋」があります。
初めて交際した人と一生を添い遂げ、一切失恋を経験しなかったのであれば、それはそれで素晴らしいことですが、多くの人はそう上手くはいきません。
その際、自分からパートナーを振ることもあれば、パートナーから振られることもあるでしょう。
今回は、パートナーから振られた人々の心理についてお話します。
好意と嫌悪が目まぐるしく変化する失恋の初期状態
パートナーから降られた人々の多くは、好意と嫌悪という二つの相反する感情を同時期に体験するようになります。
「あの人のことがまだ好き。あの人は今何をしているだろう」という好意の感情が沸き起こったと思えば、その数分後には「あいつなんて大っ嫌いだ。あんなやつのことなんて知りたくもない」という嫌悪や怒りの感情が湧いてくるようになります。
これらは、いずれもドーパミンという物質の分泌によって引き起こされ、欲求不満攻撃仮説と呼ばれます。
パートナーに振られてすぐは、まだパートナーに対する愛情が残っており、パートナーと触れ合いたいと願う期待や欲求が現れます。
ですが、同時にこうした期待や欲求は満たされることはないので、パートナーに対する怒りが湧いてくるのです。
好きの反対は嫌いではなく無関心と言いますが、心理学的なレベルでも脳科学的なレベルでも好きと嫌いは交互に入れかわることが示されており、まさに好きの反対は無関心だと言えます。
失恋から一定の時間が経過した諦めの状態
そうして、失恋から一定の期間がたつと、人々の中には、「パートナーに対する欲求は満たされることはないのだ」という諦めの感情が湧いてくるようになります。
こうした状態では、人々は強い抑うつ感情を感じ、人によってはストレスによる心臓麻痺や脳卒中で亡くなる事例も報告されています。
これは、こうした人々のメンタルが特別弱かったわけではありません。
実際、恋人に対して情熱的な恋愛をしていたという人の50%以上は、失恋をすると一時的にうつ病レベルの抑うつ状態を経験することが知られています。
いずれにせよ、失恋によって起きる感情状態というのは、「たかが恋愛」という一言で切り捨てられるものではないのです。
あなたの周囲で失恋に悩んでいる人がいたら、じっくりと耳を傾けてあげてはいかがでしょうか?