恋人や夫婦関係で下の名前を呼ぶと愛情が復活する?
一般に私たちは初対面の異性に対してあまり下の名前、つまりファーストネームで呼んだりはしません。
普通ならば、名字(ファミリーネーム)を呼ぶことの方が多いでしょう。
他にも、皆さんの恋人が知らない異性から「〇〇(ファーストネーム)は最近何してるの?」などと話しかけられているシーンを見たら、皆さんはどう思われるでしょうか。
おそらく「自分の恋人とこの人はどんな関係にあるんだろう?」と気になってしまうのではないでしょうか。
異性のファーストネームを呼ぶということは現代の日本社会では何らかの重要な意味があるようです。ポーラ化成工業によって行われた最新の研究ではその重要性を示した面白い研究成果が発表されています。
名前の呼称とホルモンの関係
ポーラ化成工業は、普段、「ママ」「△△ちゃんのお母さん」といったようにファーストネームで呼ばれていない女性に対して、初対面の男性がファーストネームで呼びかけたところ、愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が増加することを発見しました。
この研究は、女性としての自分磨きを1,2年以上積極的に行っていない30代の女性を対象にして、初対面の男性が15分間ファーストネームで呼びかけるといった手続きで行われました。
すると、女性参加者たちはオキシトシンが増加しただけでなく、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が減少していたのです。
オキシトシンとコルチゾール
オキシトシンは心理学の研究や脳科学の研究でよく測定されるホルモンであり、初期の研究では母親が赤ちゃんに母乳を挙げている時に分泌されていることが発見され、母性本能に関わるホルモンと呼ばれたこともありました。
その後、オキシトシンは母と子だけでなく、親しい間柄の関係でのボディタッチの際にも分泌されることが分かり、愛情ホルモンと呼ばれるようになりました。
私たちはオキシトシンが分泌されることによって、長期の連れ合いや、穏やかな気持ち、安定、対人的心地よさ、「他人と心がつながっている」という情緒的結びつきなどを感じる事が出来ます。
つまり、ファーストネームで呼ばれることによって、「女としての自分」に意識を向けづらくなっていた女性たちに愛情が復活したのです。
また、コルチゾールはストレスによる負荷がかかった時に分泌されるホルモンであり、コルチゾールが減少したという事は一般にストレスが低下したとみなされます。
こうしたことから、ファーストネームで呼ぶという行為は、女性たちのストレスを低下させる効果もあると言えるのです。
まとめ
女性が子どもを産み、女から母へとその役割が変化する過程で、様々なものも同時に変化していきます。その1つには自身の呼ばれ方も含まれており、これまで「○○(ファーストネーム)」と呼ばれていたものが、「ママ」と呼ばれるといったように、ファーストネームを呼ばれなくなるという事も含まれているでしょう。
しかしながら、ファーストネームは少なくとも現代の日本社会では女性にとって「女としての自分」を思い起こさせる重要な意味があるようです。
現状では、親しいパートナーがファーストネームを呼ぶ場合の効果は検討されてはいませんが、それでも名前を呼ぶというほんの小さな変化で2人の関係性がより良い方向に変化する可能性があるのであれば、日常生活の中で取り入れてみるのもいいのではないでしょうか。