なぜダメ男にハマる女性たちがいるのか?
ダメ人間にハマるのは女性だけではない
いきなりタイトルを否定することになりますが、実はダメ人間にハマってしまうのは別に女性だけではありません。
男性だろうが女性だろうがダメ人間にハマってしまう可能性はあります。
そして、より重要なこととして、ダメ人間にハマってしまうのは個人の性格が原因というよりも、誰でもダメ人間にハマってしまう可能性があるという点があります。
以下にその理由についてご紹介します。
サルを使った動物実験
何故ダメ人間にハマってしまうのかをご紹介する前に、ある興味深い動物実験の結果をご紹介します。
この実験では、サルが特定の課題を達成するたびに報酬を与えるわけですが、課題を達成しても報酬を与えない場合、当然サルは課題に取り組むのをやめてしまいます。
それでは、課題の達成に関係なくランダムに報酬を与えるとどうなるでしょうか?
すると、サルは課題の達成ごとに報酬を与えていた場合よりもより熱心に課題に取り組むようになるのです。この理由としては、「前々から予想していた報酬よりも、突然与えられた報酬の方が脳内で快感に関連する物質をより多く分泌するからだろう」と考えられています。
そして、ランダムに報酬を与え続けていた場合、サルは途中で報酬をあげるのをやめてしまっても、まだ課題に取り組み続けます。なぜなら、「課題に取り組み続けなければ、次にいつ報酬が得られるか分からない」からです。
さて、察しの良い方はもう気づかれたかもしれません。
これがダメ人間にハマる女性、あるいは男性の心理なのです。
ダメ人間にハマるプロセス
客観的に見ると、絶対にパートナーには選びたくないような人を恋人にしている人がいます。
そのパートナーは、職も無く、家事をするわけでもなく、時にはギャンブルにお金を費やし、酒に酔うと暴力すら振るうこともあります。
「なぜ、そんな人と付き合っているの?」と聞くと、「あんな人でも優しい時は優しいんだよ」と応えるのです。
このように、たいていその人には酷い目に遭わされるのに、それでもランダムに優しくしてくれるせいで、私たちはその関係から抜け出せないということが少なくありません。
本当に何もしないダメ人間ならまだしも、このようにパートナーから好かれるダメ人間たちは、「時々優しくしてくれる」のです。
先ほどのサルを使った動物実験のように、ランダムに与えられる報酬のせいで、いつまでもそのパートナーに尽くすことを止められなくなってしまうのだと言えます。
同様に、たまにしか勝てないのにギャンブル中毒になる人たちや、虐待を受けているのに親から離れられない子どもたちも同じ心理プロセスで説明されます。
これだけ投資したのだから、私はこの人の事が好きなはず
さらに興味深いことに、人間は「好きだからその人に奉仕する」というだけでなく「奉仕するからその人の事を好きになる」とようになってしまう事が知られています。
これを「認知的不協和理論」と言います。
「これだけこの人のために色々なことをやったのだから、私はこの人のことが好きなはずだ」と思い込んでしまうのです。
実際、こうした心理プロセスで「ブラック企業に勤めているにもかかわらず、自分の会社を魅力的だと感じている人」や「たくさんの寄付金を要求されたにもかかわらず、カルト宗教を信仰している人」などの心理も説明されています。
まとめ
つまり、ランダムな報酬(例: 優しくされる)によって、その人に尽くす行動がより強くなり、認知的不協和によって、「尽くしているということはこの人の事が好きなのだ」と思うようになるわけです。
もちろん、こうしたランダムな報酬にハマりやすい人、思い込みが強い人などは、ダメ人間にハマりやすいという傾向がありますが、そのような個人差を考慮しても、こうした心理プロセスは誰にだって存在すると言えます。
こうした盲目的な愛情から抜け出すために、恋愛においては時に第三者の意見を参考にすることも重要だと言えるでしょう。